「粘膜人間」という作品を御存知でしょうか。
本書の気の狂い方は尋常ではありません。
こんな事を言ったら怒られるかもしれませんが、作者はどうかしてるのではないかと心配になる程にブッ飛んだヤバい作品が本書「粘膜人間」であります。
雑記の話をする前に、本書について少々、語って宜しいですか。
冒頭からしてもうヤバいです。
デカくて只管に力が強い弟が怖くて仕方ない兄の2人は、弟を始末すべく河童に彼の討伐を頼もうと考えます。
しかし、河童の居所が分からない2人は、近所の変わり者「ベカやん」なる男に話を聞きに行くのだが・・・
まだ子供の年齢にも関わらず、滅茶苦茶に強くて兎に角デカい弟というのが既に理解不能。
平然と河童という存在が出て来るのも意味が分かりませんし、そこでベカやんが河童の居場所を教えるのと交換で提示する条件もヤバい。
終始、エロシティズムとグロテスクで展開する支離滅裂な物語で、その気分の悪さは随一。
軸になるキャラクターも次から次へと変わり、兄弟や河童や近所の女の子や件の弟という風に、目まぐるしく視点が移って行くのが余計にこの狂気の世界を確固たるモノにしています。
感情移入は誰にも出来ません。
出て来る者全てが何処かで異常を来たしており、彼等が争い合い、求め合い、勝手に消滅して行く様をねちっこく描いているのが特徴的ですね。
そして、そのどれもが凄惨な最期を遂げるのだから、たまったモノではありません。
まだ良識がある方かな、なんて思った人物もいきなり狂人と化したり、それこそゴミの様に舞台から消えるのでもう次のページで誰がどうなるかなんぞ分かり様も無いです。
作者独自の造語も頻発します。
性交の事を「ぐっちゃね」と表現するのも、最早どういう思考回路で生まれたのか見当がつきませんし、理解したくもないです。
そんな感じなので、歪み過ぎた同性愛や倫理的にどうかと思われる関係、禁忌に近い男女関係だのと次から次へとえげつないエロシティズムが展開されるのはもう辟易するしかありません。
同時に、グロテスクも相当なモノ。
何をそこまで拘って書くのだという位に、容赦無い暴力描写や破壊描写。
その凄惨さは河童の兄弟と件の弟の対決などでも顕著で、どちらにも情状酌量の余地はないとは言え、流石に可哀想になって来る残酷さ。
読んでるコチラ側まで臭いが漂ってきそうな迫真の描写力は凄いのですが、勘弁してくれとも言いたくなります。
終わり方にしても尻切れトンボ。
「そこで終わるの!?」という驚きに包まれた人は多いのではないでしょうか。
そして、その先が予想も出来ないので何とも釈然としない気持ちで、本書を閉じるしかないのです。
ここまで色々と言ってますが、やはり怒涛の面白さを誇っているのは否定出来ません。
残酷で実にいやらしい内容にも関わらず、ページをめくる手が止まらないのには困ったものです。
単純にテンポが良く、それでいていちいちインパクトがある上に、先が予想出来ないと作品に欲しい要素が揃っちゃってるので、かなり楽しめてしまうのですよ。
嗚呼、厭なモノを見てしまった・・・また読もう。
って!なる!作品なんです!!
つい語りたくなって書きましたが、本題はそこじゃなくて。何でコレを出したかと言うと、私が自転車事故を起こした時の事をふと思い出しまして。
当時、自転車に乗って友達の家から帰ってたんです。
小道の坂道を自転車で上りましてね、カーブがあるんで上りつつカァァァーブってやったら傾かせ過ぎて膝を思いっきりアスファルトの地面にガリガリ削られる事案が発生。
ギャー!と泣き叫びたいものの、怪我ってどこかのラインを超えると「痺れ」になるんですね。
駄々を捏ねて病院に行かず、抗生物質だけ塗って後は包帯グルグルで過ごしてたんですが、そこが私が良く他人に「狂人」と呼ばれる部分。
心臓もかなり弱いのですが、発作が来ても病院に行かない。バイク事故で頭打ってフラフラになっても病院行かない。何があっても病院に行かない。理由は待ち時間が暇だから。
そして、病院無しでも治るっしょ!と何と無く思っているから。
自転車の膝ガリガリも結局、膜が張り、治りましたとも。ガーゼ剥がす時に幾度も死にそうになりましたが。
それから数年後、バイク事故で再び膝もやってしまい、今度は骨飛び出してましたが同じ方法で治しました。残念ながら骨の上に皮膚を張られちゃったので、地味に膝から何か飛び出してる格好ですが・・・
グロテスクと狂気のブレンド、身近にあるものかもしれませんよ。
これ読んでる貴方、些細な事でも病院に行きなさい。碌な事になりません。
私は行きませんが!!